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2020/12/28 10:26 - No.972


第32回 フィンランド住宅、”今”のインテリアトレンドをレポート!


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北欧住宅事情(フィンランドから)
大村 裕子

2020/12/28 10:26 - No.972

 
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©Olli Berg



フィンランド、ヘルシンキ在住の大村裕子です。フィンランドの建築について住宅を中心に、建築士の視点でレポートしていきます。


photo: Olli Berg


ハウジングフェアとは

2020年8月3日-30日、フィンランドのトゥースラでハウジングフェアが開催されました。トゥースラはヘルシンキから北30kmにある、人口約4万人の町です。ヘルシンキ中央駅から電車で約30分と、ヘルシンキへの通勤圏内です。

ハウジングフェアとは大規模な住宅博覧会で、年に一度フィンランド各地で場所を替えて開催されています。第1回は50年前の1970年にここトゥースラで開催されました。トゥースラで開催されるのは今回で3回目です。

日本の住宅展示場に似ているのですが、一般公開は夏の一か月のみで、ハウジングフェア終了後入居者はすぐに移り住みます。ほとんどの住宅では、すでに住む家族が決まっています。展示用の会場ではなく実際住む住宅地で、公園等も整備されています。


出典: https://vanha.asuntomessut.fi/tulevat-messut/tuusula-2020/tuusulan-messualue/


こちらが会場の案内図です。今年は41の建物がありました。(1-41) ほとんどが2階建の戸建住宅で、集合住宅もありました。

また高齢者が住む住宅と保育園もあり、中庭を共有して建てられていました。(35-37) 残念ながらここは一般公開されていませんでした。

 
photo: Olli Berg


公園もあり、利用することができます。子供連れで来るお客さんにもいいですね。オレンジの遊具が目を引きます。


photo: Olli Berg

中央のブランコはフィンランドでよく見るタイプです。一番右に見える建物が高齢者住宅と保育園です。

常設の住宅展示場がないフィンランドでは、一度に多くの住宅を見ることができ、新しいトレンドを見学する絶好のチャンスです。フィンランド人の大人の98%がハウジングフェアを知っているというデータもあります。

住宅を見学できるのはもちろん、インテリア、住宅設備、家具、物置、ガーデニングなどのブースもあり住宅に関する情報が一度に得られるイベントです。

それでは2020年のインテリアトレンドを中心に紹介していきます。


インテリアトレンド1  内装にも外装にも木材を

何といっても木の素材を使うことが今トレンドです。

室内でも外部にも多くの場所に木材が使われています。

また木製のハンドメイドの商品もトレンドです。ハンドメイドの家具などは、工場製品とは違って多少いびつでも、職人が作った痕跡、味があっていいとされています。高価でも払う価値があると考えられています。

 
photo: Olli Berg

主寝室。

明るい木材と黒に着色された木材が使われています。明るい木材の壁をよく見ると、ベッドの置かれている部分だけ幅が狭くなっています。さりげなくアクセントになっていますね。 


photo: Olli Berg

中庭を囲むように建てられた住宅。

構造にはCLT(直交集成板)が使われています。CLTとは、Cross Laminated Timber(クロス・ラミネイティド・ティンバー)の略でひき板を繊維方向が直行するように重ねたパネルのことです。外装にも木材が使われています。


photo: Olli Berg

同じ住宅の内部。

壁や天井には明るい色の木材がふんだんに使われています。天井の木材の幅は壁より狭く、シャープな印象です。窓枠、キッチン、イスなどは黒で統一されていてスタイリッシュです。

 
photo: Olli Berg

壁の1面だけに凹凸のある木材が使われています。暖かみを感じます。 


photo: Olli Berg

白に着色された幅の広い木材を壁全面に使っています。


インテリアトレンド2  ジャパンディ

ジャパンディとは、北欧スカンジナビアデザインと和風ジャパンデザインをミックスして取り入れたスタイルのことです。世界的なインテリアトレンドで、今回のハウジングフェアでも見られました。

フィンランドスタイルに、日本のテイストが入っています。フィンランド人にとって、日本のどんなところが魅力なのかを見てみましょう。


photo: Olli Berg

天井から吊り下げられているグリーンに注目して下さい。

なんと苔玉です。苔玉、KOKEDAMAは海外で人気のようです。


photo: Olli Berg

リビングルームの壁は塗り壁で、日本と同じ方法で塗ったのだと説明してくれました。昔の日本の家でよく見たような塗り壁です。

よく見ると壁の中に自然素材が見えます。実はこの家に入った瞬間なんだか懐かしい雰囲気を感じたのですが、この壁が理由だったのかと納得しました。

日本人が北欧スタイルを取り入れたいと思うように、フィンランド人も和風スタイルを取り入れたいと思うのですね。


次回も引き続きハウジングフェアでのインテリアトレンドをレポートします。

お楽しみに。





 
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大村 裕子
Leppänen Architects

フィンランド、ヘルシンキ在住。一級建築士。 1996年北海道大学工学部建築工学科卒業。スウェーデンハウス株式会社で16年設計に携わる。主に北海道、千葉、東京にて202邸の注文住宅、別荘、店舗等を設計。 その後スウェーデン、フィンランドにて設計事務所にて住宅を設計。フィンランドの北欧建築視察専門の旅行会社を経て、現在はフィンランドの設計事務所Leppänen Architectsに在籍。

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