A-PLUGのご利用には会員登録が必要です
すでに会員の方はログインください

2020/12/04 09:00 - No.937


第30回 制振装置どれがいいの?


S100x100 minoru sato
「構造塾」佐藤実氏の『本当にヤバイ木構造の話 ~これからの木造住宅の耐震性能』
佐藤 実

2020/12/04 09:00 - No.937

 
S1200x600 s1200x600  %e6%8a%95%e7%a8%bf%e7%94%bb%e5%83%8f%e7%ac%ac30%e5%9b%9e %e4%bd%90%e8%97%a4%e5%85%88%e7%94%9f 制振装置は壁倍率がポイント木造住宅用の制振装置がたくさんありますが、一体どの制振装置が良いのか?こんな質問をよく頂きます。具体的に、この制振装置がお勧め、この制振装置はダメ、などとは言えませんが、制振装置の機能から使うべき制振装置を考えてみてください。制振装置には「壁倍率がある」ものと「壁倍率がない」ものとがあります。どちらが良いのでしょうか??壁倍率がある制振装置は、初期の地震時に耐力壁として機能します。そう、木造住宅の耐震性能があるうちは地震による変形が少ないため、制振装置は機能せず筋かいとして突っ張った状態で地震に耐えています。大きな地震力を受けたり、繰り返し地震により木造住宅の耐震性能は低下します。地震により損傷した木造住宅は変形量が多くなります。この大きな変形時に壁倍率のある制振装置は制振機能を発揮しだします。損傷した後の倒壊を防ぎます。「壁倍率がある」制振装置は、損傷防止ではなく倒壊防止として働きます。いわゆる、命を守るがもう住めなくなる可能性が高いということです・・・壁倍率がない制振装置は、初期の地震時から制振装置として機能します。そして耐震性能を守り続けます。「壁倍率がない」制振装置は、損傷防止として働きます。いわゆる、命をと財産を守り住み続けることができる可能性が高いということです・・・制振装置を車のサスペンションに例えるともっとわかりやすいと思います。サスペンションとは道路の凸凹を車に伝えない緩衝装置のことです。壁倍率がある制振装置は固いサスペンションで小さな凸凹では機能せず、大きな凸凹でようやく機能します。壁倍率がない制振装置は和らないサスペンションで小さな凸凹から機能します。ということです。結果、壁倍率がない方が良いのではないかと思っています。この考え方 ..
 
S100x100 minoru sato
佐藤 実
株式会社M's(エムズ)構造設計

1968年新潟県生まれ。1990年東北工業大学工学部建築学科卒業。㈱佐藤住建を経て、2006年㈱M’s構造設計設立、現在に至る。2010年東京大学大学院修了。2010年「構造塾」を設立、木質構造に関するセミナー、構造計算技術者育成講座を開催。著書に、最高に楽しい木構造入門(エクスナレッジ)、楽しく分かる!木構造入門(エクスナレッジ)がある。

業務にあわせて効率UPができる
ツールをご提供!

イベント・セミナー全て見る>

Btn gotop