(こちらの記事は「弁護士法人匠総合法律事務所ニュースレター」からの転載です)商談中の未契約の顧客からキャンセルの連絡を受けた場合、設計料の請求をすることが出来るか?(弁護士法人匠総合法律事務所 代表社員弁護士 秋野 卓生)例えば、顧客との商談を2年前から開始していたとしましょう。土地探しのお手伝いはもちろん、住宅プラン図も50枚程度作り、時間にして300時間は顧客との打ち合わせに費やしています。ところが、今回の新型コロナウイルス感染症の影響で、顧客は、家づくりを断念したいという連絡が入った、という事件が発生した場合、契約を締結していない顧客に対して、図面作成費等の請求をすることができるか?という論点について解説したいと思います。1 契約上の設計か、営業設計か(1)ある程度設計業務が進行した段階で、新型コロナウイルス感染症の影響で注文者のマインドが低下してしまい、契約締結を断られてしまった場合、「このような事態だからやむを得ない」と考える住宅会社も多く存在すると思います。他方で、営業マン、設計(建築士)が多くの時間を費やし、設計図面等を作成している場合には、それに費やした経費を請求したいと考える住宅会社も多く存在するはずです。しかし、一般消費者である注文者が、工務店ないしハウスメーカーに建物の建築を依頼する場合においては、設計の段階で費用が発生するとの意識は希薄であることが通常です。これに対して、工務店ないしハウスメーカー側も、注文者との請負契約にこぎつけるために、設計業務に費用が発生することを説明しないまま設計を進めてしまうことが多いのが実情です。このように、明示の設計契約が締結されていない段階で発生した費用について、いかなる法的構成で設計費用を注文者に請求できるかが問題となり ..
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