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2021/06/02 10:15 - No.1057


第7回 マンションの管理委託費の値上げを回避できる方法


知らないと損する!マンション管理組合の現場レポート
村上 智史

2021/06/02 10:15 - No.1057

 



管理委託費の増額改定が増えている理由

昨今、マンション管理会社が管理組合に対して管理委託費(※ 下記参照)の値上げを要求するケースが増えているようです。

※ 「管理委託費」と「管理費」の違いについて

「管理委託費」とは、組合運営業務のサポートを依頼している管理会社に支払う業務委託費のことで、管理組合の主要な支出項目の一つです。一方、いわゆる「管理費」とは、この管理委託費や共用部にかかる水道光熱費・損害保険料・修繕費・その他組合運営に必要な経費を賄うために、区分所有者から毎月徴収する管理組合の「収益」科目を指します。

こうした動きは、人手不足の深刻化や各自治体が定める「最低賃金」の改定等によって管理員や清掃員などの人件費が上昇傾向にあるため、管理会社の対売上高利益率が低下していることが背景にあります。

そのため、管理会社の経営方針がこれまでの「売上重視」から「利益重視」に転換し、管理組合に対して委託費の値上げを要求したり、あるいは採算が合わないと判断した場合には解約も辞さない姿勢を見せるようになったようです。

今から3年ほど前に、300戸近い大規模マンションの管理組合から「いきなり管理会社から契約更新しないとの申し出があり、3ヶ月以内に新たな管理会社を探さなくてはならなくなったのでサポートしてほしい」との相談が持ちかけられ、コンサルティングすることになりました。

このマンションの管理会社は当時有名デベロッパー系列の大手管理会社でしたが、管理委託契約の内容を精査したところ、きわめてリーズナブルな料金でした。言い換えれば、管理会社にとって「それほどおいしくない」物件だったのでしょう。

また、このマンションでは理事会のほかに常設の修繕委員会が機能しており、修繕案件はことごとく複数の業者から相見積もりを取得のうえ最安の価格水準を突き詰める慣例が確立していたため、その管理会社が工事を受注する機会がほとんどなかったことも、見切りを付けられた要因になったようです。

このように、人件費の上昇によって管理会社の収益性が従来に比べて悪化したのは確かでしょう。では、管理委託費の増額要求に対して管理組合はなすすべがないのでしょうか? 

いいえ、そんなことはありません。これまで管理委託費を見直したことがないマンションであれば、コスト削減の余地は十分あると思います。

実際、管理会社から解約の申し出を受けた上記のマンションでさえ、その後同業他社5社から相見積もりを取得のうえ新たな管理会社を選定した結果、従前に比べて支出を約100万円/年削減できたのです。

 
村上 智史
株式会社 マンション管理見直し本舗

株式会社 マンション管理見直し本舗 代表取締役社長 村上智史 東京都マンション管理士会所属 マンション管理士・中小企業診断士・宅地建物取引主任者 1964年京都府出身。早稲田大学商学部を卒業後、1987年4月三井不動産に入社。土地オーナーとの共同事業、ビル賃貸事業、Jリート(不動産投資信託)の立ち上げに従事したほか、投資顧問会社出向等を経て2013年3月退職し、同年4月より現職。

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