YKK AP株式会社が発行する建築業界情報誌「メディアレポート」の「トピックス」では、住宅業界の最新情報、市場の動向・トレンドをご紹介しています。
今回はメディアレポート 2024年9月号に掲載された「改正・宅建業法が施行 インスペクションの活用を促進」の記事をご紹介します。
改正・宅建業法が施行
インスペクションの活用を促進
国土交通省は建物状況調査、いわゆるインスペクションの活用促進を推進。2024年4月1日に改正・宅建業法を施行するとともに、活用の手引きやQ&Aを改訂、その環境整備を進めている。
18年の建物状況調査の活用の促進等を内容とする宅地建物取引業法(宅建業法)の改正から5年が経過したなか、社会資本整備審議会産業分科会不動産部会で建物状況調査のさらなる普及促進に向けての検討が行われた。これを踏まえ「宅地建物取引業法施行規則の一部を改正する省令」と「標準媒介契約約款の一部を改正する件」が公布され、建物状況調査の見直し関係について24年4月に施行された。
建物状況調査=インスペクションは既存住宅の構造上主要な部分などの状況を基準にしたがって行う調査のこと。18年の宅建業法改正においてはその説明義務が導入された。具体的には、媒介契約締結時に不動産仲介業者が建物状況調査業者の斡旋の可否を示し、媒介依頼者の意向に応じて斡旋する。また、建物状況調査を実施した場合は、重要事項説明時にその結果を買主に説明しなければならない。
今回の改正では、共同住宅の住戸内・住戸外における調査を異なる調査者がそれぞれ実施することが可能になったことを踏まえ、共同住宅等(RC造など)に関わる重要事項説明の対象となる建物状況調査結果の期間を、これまでの調査実施後「1年以内」から「2年以内」とした。
また、これにあわせて標準媒介契約約款を改正し、建物状況調査の記載について、建物状況調査を実施する者の斡旋無しとする場合は「理由の記載覧を設ける」こととなった。さらに、トラブルを回避するため建物状況調査の限界(瑕疵の有無を判定するものではないことなど)について明記した。国土交通省が22年に実施した消費者・宅建業者向け調査によると、取引当事者が建物状況調査を実施する割合は3割程度にとどまる。また、宅建業者の7割が「一律に斡旋無し」としていることも分かった。国土交通省は、今回の改正を踏まえ宅建事業者及び消費者向けに建物状況調査を分かりやすく解説するリーフレット「〜既存(中古)住宅の安心取引のために〜建物状況調査(インスペクション)活用の手引き」を策定、その周知を進めている。