YKK AP株式会社が発行する建築業界情報誌「メディアレポート」の「トピックス」では、住宅業界の最新情報、市場の動向・トレンドをご紹介しています。
今回はメディアレポート 2024年10月号に掲載された「低層非住宅で拡大する木材利用 500㎡未満の木造率は43%」の記事をご紹介します。
低層非住宅で拡大する木材利用
500㎡未満の木造率は43%
低層・非住宅建築物で木材利用が拡大している。
2023年の建築着工床面積における木造率は44.7%と半分近くを占めるが、用途別・階層別にみると、1〜3階建ての低層住宅は80%を超えているものの、低層非住宅建築物は約15%、4階建て以上の住宅・非住宅をあわせた中高層建築物は1%以下となっている。
ただ、注目されるのは非住宅分野、特に低層で床面積の小さな非住宅における木造率が高まりつつあることだ。23年の建築着工床面積を細かく見ると、低層・非住宅の木造率は14%であるが、500㎡未満は43%、500〜3,000㎡未満は14%、3,000㎡以上は1%となっている。「令和5年度森林・林業白書」では、こうした状況について「既存の住宅建築における技術をそのまま使える場合がある」などと考察している。また、住宅市場の減少見込みや、持続可能な資源として木材への注目度が高まり、建設・設計事業者や建築物の施主となる企業などが木造化・木質化に取り組む例が増えていることなども指摘している。
今、国は建築物の木造化・木質化に力を入れている。大きなターニングポイントとなったのは50年カーボンニュートラルの実現に向けて21年に「建築物等における木材の利用の促進に関する法律(都市の木造化推進法)が施行されたことだろう。同法に基づき「建築物木材利用促進基本方針」を策定、建築物の木材利用の促進を強く進めている。地方公共団体においては、24年2月末時点ですべての都道府県と1,640市町村(94%)が都市の木造化推進法に基づく木材の利用の促進に関する方針を策定している。
非住宅・中高層建築物については製材やCLT(直交集成板)、木質耐火部材などに関する技術開発、建築基準の合理化などにより先導的な建物が建てられてきている。一方で、低層で小規模な建築物については、公共施設のみならず保育園・幼稚園といった施設、店舗や倉庫などで木造化・木質化のニーズが高まっている。例えば、コンビニなどでも木造化の動きが広がっている。
木材活用は環境負荷低減につながるだけでなく、国産材の活用は地域振興にも大きく寄与する。地域の工務店・ビルダーや建築会社の業容拡大という視点からも木造非住宅分野の拡大が注目される。
国土交通省「建築着工統計」
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