引き続き「外皮について」というテーマで「省エネのキホン」的考察を進めたいと思います。今回も外皮の熱貫流率の計算について、お話を続けます。(前回記事はこちら)
■外皮では無視できない「熱橋」の影響
前回は、外壁の構成を想定して、実際に熱貫流率Uを計算してみました。
その際に、一口に「外壁」と言っても2種類あることをお伝えしました。
外壁を断面図として表す場合に、切断する場所で違いが出てくると考えると分かりやすいですね。
断熱材が詰まっている「一般部」と、構造材である柱や間柱のある「熱橋(ねっきょう)部」の2種類です。
おさらいの意味で、それぞれの計算結果を見てみましょう。
まずは、断熱材に高性能グラスウールHGW16Kを使用した「一般部」は
となり、この部位の熱貫流率U値は0.285(W/㎡・K)でした。
そして、柱もしくは間柱がある「熱橋部」は
となり、この部位の熱貫流率U値は0.739(W/㎡・K)でした。
「一般部」の断熱材よりも熱が伝わりやすい(=熱伝導率が高い)木材が詰まっている「熱橋部」の性能が悪い(=熱貫流率の数値が大きい)のは、計算からはもちろん、感覚的にもお分かりいただけると思われます。
加えて、改めてですが「熱を伝えやすい(=熱が渡って行きやすい)」ということから「熱橋(ねっきょう)」、別名として「ヒートブリッジ」と呼ばれるのも容易に想像がつきますね。
また前回では、
「「熱橋部」は熱貫流率U=0.739(W/㎡・K)と、断熱材が充填された「断熱部」よりもU値が約2.6倍も大きくなりました。
それはそのまま、熱が約2.6倍伝わりやすくなっている、ということですので、この部分を考慮しないと、実際よりも(性能を)過大評価してしまうことになりますね。」
とお伝えしました。
では、どのように考慮するか?
突然ですが、施工途中の、断熱・気密施工後、内装仕上げ前の現場に立っているとご想像ください。
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