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2023/12/01 17:00 - No.1359


第32回 設備編「エアコンについて(3)」


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省エネのキホン
堤 太郎

2023/12/01 17:00 - No.1359

 
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引き続き「設備」をテーマとして「省エネのキホン」的考察を進めます。
今回もエアコンを取り上げています。


■やはり手ごわかった空気の性質

今回は、私のしくじり話から。

前回の記事では、少し前に基本プランを手がけた物件が、壁掛け用エアコン2台(夏用1台・冬用1台をメインとする)で、全館的な空調も意図したように上手くいった、などと偉そうに述べていましたが(笑)、ここに至るまでには当然、失敗例も多々あります。

2016年前後には、外皮性能は安定してG2レベル、気密性能もC値0.5未満、床下用エアコンなどもすべて含めて標準仕様とした住宅の設計をしていましたが、ある物件にて、吹抜け部に夏用として設置したメインのエアコンの効きが悪く、2階がうまく冷えないという報告を受けました。

1階も冷房しながら、なんとか2階もカバーできれば、という一石二鳥を狙ったつもりが、見事に失敗した形でした。

2階の水回りから1階の洗濯コーナーまで洗濯物を落とせるダクト状シューターを設けたプランでしたので、そこから上向きにサーキュレーターの風を吹かせてもあまり効果もなく、ダクト式の第一種熱交換気システムの効果も期待しつつ2階を意図した室温まで下げようと設定温度を下げると、今度は1階が冷え過ぎる(加えて湿度も下がらず)というジレンマに……

直接的な原因は、冷房用のエアコンの位置が微妙に低く、冷気が2階にまでうまく上がらず、家全体としての空調ができていなかったことによります。

当たり前と言えば当たり前ですね。

「暖められた空気は上に昇り、冷やされた空気は下に降りる」

この原理に逆らうことは、何らか機械式のダクトファンを使うなどせずには到底無理です。
加えて、この物件では吹抜けが独立した位置にあり、階段や2階の廊下等ともうまく連携していませんでしたので、循環を目的としたシーリングファンなども設置しませんでした。

これらを考え合わせますと、もっと大きな原因が見えてきます。

 
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堤 太郎
一般社団法人 みんなの住宅研究所

一般社団法人 みんなの住宅研究所 代表理事/株式会社 M's構造設計所属。一級建築士、CASBEE戸建評価員、BISほか。1966年奈良県生まれ。1990年摂南大学工学部建築学科卒業。関西商圏のビルダーに27年勤務し、主に2x4工法(枠組壁工法)の戸建住宅設計に携わる。2013年にドイツのフライブルクをはじめとした各地の研究機関・企業等をツアー視察した後、ATC輸入住宅促進センター(大阪市)主催の省エネ住宅セミナーにて、企画のアドバイスやパネルディスカッションのコーディネーターとして複数参加。2018年にM’s構造設計に参加、「構造塾」講師や「省エネ塾」の主催、個別コンサルタント等を行っている。

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