引き続き「設備」をテーマとして「省エネのキホン」的考察を進めます。
今回もエアコンを取り上げています。
■やはり手ごわかった空気の性質
今回は、私のしくじり話から。
前回の記事では、少し前に基本プランを手がけた物件が、壁掛け用エアコン2台(夏用1台・冬用1台をメインとする)で、全館的な空調も意図したように上手くいった、などと偉そうに述べていましたが(笑)、ここに至るまでには当然、失敗例も多々あります。
2016年前後には、外皮性能は安定してG2レベル、気密性能もC値0.5未満、床下用エアコンなどもすべて含めて標準仕様とした住宅の設計をしていましたが、ある物件にて、吹抜け部に夏用として設置したメインのエアコンの効きが悪く、2階がうまく冷えないという報告を受けました。
1階も冷房しながら、なんとか2階もカバーできれば、という一石二鳥を狙ったつもりが、見事に失敗した形でした。
2階の水回りから1階の洗濯コーナーまで洗濯物を落とせるダクト状シューターを設けたプランでしたので、そこから上向きにサーキュレーターの風を吹かせてもあまり効果もなく、ダクト式の第一種熱交換気システムの効果も期待しつつ2階を意図した室温まで下げようと設定温度を下げると、今度は1階が冷え過ぎる(加えて湿度も下がらず)というジレンマに……
直接的な原因は、冷房用のエアコンの位置が微妙に低く、冷気が2階にまでうまく上がらず、家全体としての空調ができていなかったことによります。
当たり前と言えば当たり前ですね。
「暖められた空気は上に昇り、冷やされた空気は下に降りる」
この原理に逆らうことは、何らか機械式のダクトファンを使うなどせずには到底無理です。
加えて、この物件では吹抜けが独立した位置にあり、階段や2階の廊下等ともうまく連携していませんでしたので、循環を目的としたシーリングファンなども設置しませんでした。
これらを考え合わせますと、もっと大きな原因が見えてきます。
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