前回から、ずいぶんと期間が空いてしまいました。その間に日本はもちろん、全世界的に新型コロナ感染拡大の影響が、あらゆるジャンルに波及しています。家づくりも例外ではありません。「withコロナ、ポスト・コロナの」などと称しなくても、家族と住まいのあり方、家で過ごすという時間や行為の意味、そして特に、室内で暮らす環境自体についての意識が変わらない、などということはあり得ないでしょう。その辺りは、家づくり全体についての考証として、どこかで行いたいと思います。さて、今回からは、「外皮について」というテーマで、住宅に求められる断熱性能をはじめとした、建物躯体そのものについて、「省エネのキホン」的考察を進めていきたいと思います。■改めて「UA値」とはまずは、言葉の定義と概要から。住宅の断熱性能を表す指標として、現在は「UA値(ゆーえーち)」という数値が使用されていますが、それは正式には「外皮平均熱貫流率(がいひへいきんねつかんりゅうりつ)」と呼ばれ、対象とする単位住戸の内外の温度差1℃当たりの総熱損失量を「外皮(がいひ)」の合計面積で割った数値を差します。よって、単位は「W/(㎡・K)」となります。「第5回 熱の伝わり方(1)」でもお伝えしましたが、温度の単位は「℃(摂氏温度)」ではなく、「K(ケルビン)」を使用します。そしてUA値の名称の中に出てくる「外皮」とは、省エネ基準の解説では、「外気等(外気又は外気に通じる床裏、小屋裏、天井裏その他これらに類する建築物の部分をいう。)に接する天井(小屋裏又は天井裏が外気に通じていない場合にあっては、屋根)、壁、床及び開口部並びに当該単位住戸以外の建築物の部分に接する部分をいう。」と定められています。文字だけで見ると非常に面倒くさい感じですが、ポイン ..
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一般社団法人 みんなの住宅研究所 代表理事/株式会社 M's構造設計所属。一級建築士、CASBEE戸建評価員、BISほか。1966年奈良県生まれ。1990年摂南大学工学部建築学科卒業。関西商圏のビルダーに27年勤務し、主に2x4工法(枠組壁工法)の戸建住宅設計に携わる。2013年にドイツのフライブルクをはじめとした各地の研究機関・企業等をツアー視察した後、ATC輸入住宅促進センター(大阪市)主催の省エネ住宅セミナーにて、企画のアドバイスやパネルディスカッションのコーディネーターとして複数参加。2018年にM’s構造設計に参加、「構造塾」講師や「省エネ塾」の主催、個別コンサルタント等を行っている。